・・・ 悲しみの秘儀 ・・・
2016年 02月 06日
そのサイトで出会ったこの本。
本の帯には
「悲しみを通じてしか見えてこないものが この世には存在する」
「揺れ動く心で 問いを生きてみる」
読まなきゃいけない本だと すぐに感じた。
まったく便利な世の中で 数分後にはAmazonで購入できた。
翌々日には 手元に届けられる。
きれいな装丁だった。その色も 手触りも ・・・
装画には日傘作家の ひがしちか
造本は装幀家の 名久井直子
6種のカバーと9種の表紙 が作られたという。
あぁ・・・ そうか・・・
この本のために 絵が描かれ
9種類のカバーにされ 6種の表紙にされ
表紙は絵を内側に一つ一つ手で折りこまれているのか。
本への思いが この手触りで感じることができる。
そのことだけで もうわたしはこの本に
深く入り込んでいる気がした。
若松氏による25編のエッセイがつづられている。
どれも「別れ」による悲しみのエピソードだ。
涙がこみ上げてくる話もある。
でも
どれも 悲しくはならない。
作者が体感したその悲しみの中に
その悲しみの向こうに見える 「生きる力」 を
強く強く 感じるからだ。
この方の本は以前1冊読んだことがある。
「池田 晶子 不滅の哲学」
タイトルは なんともガチッ!! としているが
若松氏による 池田晶子 への洞察と理解が
どれも真実だと腑に落ちるくらい その表現は
限りなく繊細で的確。
そしてわたしの両手でかかえきれないほど
その時のわたしが求めているコトバがそこにあった。
今回の本も読み進めるごとに そうだ・・・そうなんだ・・・
という こころの声が 何度もうなずき わたしのこころを震わせた。
~はじめに~ からの文章で
「人が語ろうとするのは 伝えたい何かがあるからであるよりも
言葉では伝えきれないことが、胸にあるのを感じているからだろう」
本の途中
突然 不穏な色のにじみが現れる
作者の 悲しみ を表しているようだった。
1日をかけて
少しずつ読み進め 読み終えた。
今のわたしには キツイ本だった・・・けれど
読まなければいけない本だという事は よくわかった。
もう一度
読み返すことにする。